猛暑のメルボルン、小さな命との出会いが教えてくれたこと。ーオーストラリアの日常にある動物愛護

今週のメルボルンは、連日40度を超える記録的な猛暑に見舞われました。特に、昨日と一昨日は数年ぶりの最高気温となりました。今朝も乾いた風の音と共に、燻んだ空気で、山火事(こちらではブッシュファイアと言います)の様子が伺われます。この時期には、各地で発生しているブッシュファイヤー(山火事)の深刻な状況が、ニュースで伝えられています。私たち人間にとっても過酷なこの暑さは、まさに命に関わる危機です。

今朝、そんな厳しい現実を目の当たりにする出来事がありました。

目次

いつもの散歩道で

昨日の猛暑が嘘のように、今朝の気温は20度前後。これがメルボルンの夏の気候のユニークなところなのです。一気に気温は上がりますが、クールチェンジがやってきます。このおかげで夏でも過ごしやすいメルボルンです!

まだ少し空気がひんやりしている早朝、愛犬とのいつもの散歩コースを歩いていた時のことです。建物の横のガーデンベッドの木の下に、何かがうずくまっているのが目に入りました。

近づいてみると、それは一匹のポッサムでした。

ポッサムは本来、夜行性の動物ですので、日が昇ってから、しかも人間が通るような地面にじっとしているなんて、明らかに普通ではありません。その姿は小さく、憔悴しきっているように見えました。おそらく、連日の猛暑で体力を奪われ、木の上に戻る力も残っていなかったのでしょう。

ただ様子を眺める私たちの横を同じく犬の散歩をしていた一人の女性が通りかかりました。彼女もポッサムの異変にすぐに気づき、足を止めました。

「あら。きっと熱中症ね。可哀想に」

「でも犬を置いてからお水持ってくるわ。」

と言って去っていきました。

野生動物を守ること

数分後、自宅に戻って、私と夫は

「あの女性お水持って行くのかな。」

「ポッサムも野生動物だから、しかも、今はたくさんの動物がブッシュファイヤの犠牲になっていることだし、Animal Rescueがは何かしてくれるとは思えない。」

などと夫と話していましたが、私は取り急ぎ、水と容器を持ってまたポッサムのところへ行くことにしました。

私が戻ると、女性はすでに携帯で話していました。Wildlife Rescue(野生動物保護団体)に電話をかけてくれていたのです。

「私が戻ってきたら、動き始めて、木の上にも登ろうとしたの。落ちちゃったけど。動き回ってるのよ。」

保留音の合間に流れる自動アナウンスが、私たちの耳に届きました。 「保護が必要な動物を見つけた場合は、水とタオル、そして風通しの良い箱を用意してあげてください」とのこと。

手元にあるのはお水だけ。「タオルと箱を取りに戻るべきか」「でも、その間にこの子が移動してしまったら」と、私たちが焦りと葛藤の中であれこれ話していました。でも、その時、女性が

「私たちがここでずっと見守っていることが、かえってこの子にストレスを与えてしまうかもしれないから、今はそっとしておきましょう」、と静かにその場を離れることにしました。

日常に根付く優しさ

心配しながら帰宅しましたが、私の心には、ポッサムへの心配と同時に、温かい感情が広がっていました。

見ず知らずの動物のために、当然のように足を止め、行動を起こす。そして、「助けたい」という一心の行動が、かえって野生動物の負担になるかもしれないという可能性にまで思いを巡らせ、冷静に「見守る」という選択。

そこには、単なる同情ではない、自然への深い敬意と、野生動物との適切な距離感をわきまえた、深い優しさを感じました。

毎年この時期になると繰り返されるブッシュファイヤーの脅威。自然の厳しさを前に、私たちは時に無力さを感じます。しかし、今朝出会った彼女のように、小さな命に心を寄せ、自分にできる最善を考え行動する人々が、この国にはたくさんいます。

オーストラリアは、人に対してだけでなく、動物に対しても、社会全体で「守る」という意識が根付いている国なのだと、改めて強く感じた朝でした。

「動物愛護」でも、進んでいるメルボルンでの生活は、こうした動物への優しい思いを持った人たちに出会えることに感謝です!

数年前に、メルボルン、オーストラリアの動物保護事情について綴った書籍

オーストラリア発犬も人も一緒に幸せになれる方法」もぜひお読みいただければ嬉しいです!

あの小さなポッサムが、置いたお水を飲んで、少しでも体力を回復してくれますように。そして、この夏のブッシュファイヤの被害が最小限で治りますように。

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