
日本とオーストラリア、秘書の役割はどう違う?
「日本の秘書と、オーストラリアのExecutive Assistant(EA)ってどう違うの?」
最初にExecutive Assistantというタイトルをもらった時(もう20年以上前?!)から、そう思っていました。
実は私は、日本で秘書として働いたことはありません。日本では高校の英語教師をしていました。
その後オーストラリアに来て、小さな日系の商社で、事務一般(受付も含む、秘書業務)から「事務職」のキャリアをスタートしました。その1年後、トヨタ自動車に転職、今から思えば、スタートした時は、ポジションのタイトルもないまま就職し、数ヶ月後、EAという役職に就きました。「会社設立のサポートスタッフ」だったような。
日本の秘書像とオーストラリアの「秘書」と呼ばれる役職
これまで、オーストラリアの会社から、日本の本社の秘書の方たちと関わらせていただく中で、思ったことは、日本の秘書は「上司のサポート」に特化するケースが多いようです。
スケジュールや出張の管理、来客対応やお茶出し、贈答品の手配など。
とても大切な仕事ですが、役割は比較的限定的で、範囲が明確に区切られている印象があります。
オーストラリアでは、「秘書」に相当する職種として Personal Assistant(PA)、Secretary、Executive Assistant(EA) があります。
この中で最も日本の「秘書」に近いのはPersonal Assistant。上司のスケジュールや身の回りのサポートが中心です。Secretaryというポジションは最近はあまり見かけませんね。過去の「タイピングなどをする事務職」というようなイメージでしょうか?
一方、Executive Assistantは役割がぐっと広がり、オフィス全体やチームの運営、さらにはプロジェクトの一部に関わることもあります。
待遇の面でも一般にEAの方が高くなる傾向があり、責任範囲の大きさが反映されているのだと思います。
私が最初にEAを務めたとき
冒頭でも書きましたが、オーストラリアで最初にEAというタイトルをいただいたのは、トヨタが世界で5番目のテクニカルセンターを設立したとき。私はその設立当初からのスタッフでした。
業務は本当に幅広く、
- オフィスの立ち上げ準備(会社の銀行、法的手続きなど)
- 新しいスタッフのリクルートサポート
- 駐在員のビザ申請や帰国手続き
- 社長・副社長のサポート
- 大量の書類の日英翻訳、社長、副社長、出張者の通訳
まさに「なんでもやる」役割でした。今振り返ると、EAとは上司を支えるだけでなく、会社や部署全体の仕組みを支える存在だということだと思います。
オーストラリアのEAの幅広さ
現在の職場でも、オフィスやキッチンの小さな備品管理から重要な資料の翻訳、VIP対応まで担当します。イベント運営やプロジェクトにも深く関わります。
オーストラリアでは、EAが単に上司の「秘書」にとどまらず、時にオフィス全体のマネージャーのような役割を果たすことも大いにあります。
上司の右腕でありながら、部署(チーム)や、会社全体をスムーズに回す「ハブ」のような存在―それがEAだと感じます。
日本の秘書と比べると、オーストラリアのEAは「役割の幅広さ」が際立ちます。
どちらが良い・悪いではなく、文化や働き方の違いがそのまま役割の違いとして表れているのだと思います。
次回は、先日のVIP訪問の経験を通して感じた「おもてなし」と「グローバル感覚」について書いてみようと思っています。。どうぞお楽しみに!
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